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天文中年の部屋2

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笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて

笠井さんの仕入れの都合で、3月初旬に発注したBLANCA-130EDTⅡは約3ヶ月後の6月初旬に
ようやく入荷しました。
待ちに待った、鏡筒を覗いてみるとなにかおかしい・・・・

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて_d0251387_19585754.jpg

月を見ると月の周りに結構な色収差があります。
一瞬アクロマートかと思いました。(爆)

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて_d0251387_19585902.jpg
バーチノーフマスクの画像は明らかな光軸ズレが認められます。

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて_d0251387_19585882.jpg
タカハシのセンタリングスコープで確認すると。
明らかに玉ズレしてます。

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて_d0251387_19585831.jpg


木星の撮影しましたが、シャープさに欠けて、実際に眼視で見ると、上側は青く、下側は赤く見えます。

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて_d0251387_20055521.jpg
焦点内外像も一番パワーのあるレンズは同心円上ですが、他のレンズがずれているのが分かります。
上と下に見えます。
上にある方は写真でもよく分かります。

このことを笠井さんに話をするととりあえず、調整もしくは交換ということになりました。
まぁ、笠井さんは当初この鏡筒は光軸はズレることは滅多にない、まして、3枚のレンズの芯がずれるなんて
ありえないといってましたが、色々と実際に眼視で恒星を見た時の内外像やエアリーディスクの見え方
ディフラクションリングの見え方等を伝えると、そこは、眼視一筋の笠井さん、納得頂けて、

「この鏡筒2型になって初めてです。驚きました」

と、笠井さんは仰いましたが、驚いたのは私の方なのですが、まるでアクロマートのような色収差に・・・・(爆)

ということで、その後は直ぐに対応頂いて、笠井さんが再度、他の新品を確認した鏡筒が
送られて来ました。

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて_d0251387_19585965.jpg
新しく来た鏡筒のバーチノーフマスクです。
まともですね。

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センタリングスコープの像です。

全てのレンズの芯がほぼ完全にあっている感じです。

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて_d0251387_20184125.jpg
焦点内外像もまあまあでしょうか。

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて_d0251387_19585891.jpg
新しい鏡筒で木星を撮影
もう一声って所ですが、眼視で見る限り、前のような色ずれはないです。

実際に恒星を見ても前とは全然違います。
しかし、厳しい目で恒星を見ると、青系の色収差が若干残ります。
これは、直焦点撮影しても、分かることから、この辺がこの鏡筒の限界なのかも知れません。

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて_d0251387_20293197.jpg
RAP2で下処理して、ステライメージでコンポジットしただけの画像です。
フラットとダークは引いてますが、限りなくライトフレームに近い状態です。

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて_d0251387_20343412.jpg
大きくトリミングすると青ハロが更に分かりやすいと思います。

笠井トレーディング BLANCA-130EDTⅡについて_d0251387_20295581.jpg
実際には画像処理で強調するさいに、青ハロは除去しますので、この程度の軽微な青ハロだと
除去処理してもその痕跡は殆ど分からない程度には出来ます。


友人のTOA130と交換前の鏡筒、交換後の鏡筒を二度にわたって見比べしました。
交換前の鏡筒はTOA130と比べるまでもない状態でしたが、交換後の鏡筒は
決して勝ることはありませんが、木星を見比べても、ある程度勝負できる程度の見え味であり
価格を考えるとコストパーフォーマンスの高い鏡筒といえます。

最後に、この鏡筒をもし購入候補に挙げるのなら、少なくとも、アポクロマート望遠鏡の見え味というものが
ある程度他で見て分かっているとか、他のアポ鏡筒を既に持っているとか言う方は問題ないと思いますが
初めての屈折望遠鏡をを買うなんて方は万が一調整不良品、もしくは運送時の振動による玉ズレ等が
起きた場合に対処できるか否かが選択の基準となると私は思っています。
まあ、ある一定以上のスキルのある方向けみたいな。
笠井さんの望遠鏡のラインナップってある意味殆どの商品がそのんな感じではありますが・・・

ちなみに、私はVixen ED103sとED81sを持っています。
っていうか、今回BLANCA130EDTⅡを購入するに当たり、ED103sはドナドナしましたが・・・・・

といっても、当初とんでもない調整不良品が来たときは、私もこの鏡筒を選んで後悔しましたが、
新品交換品を手にした今は、そこそこ、満足しています。
まぁ、13cmの3枚玉アポにTOA130のように60万近く出すのはちょっとってスタンスでしたので。
そういう、人にはある意味上の条件を満たせば、満足できる鏡筒といえます。

by tenmontyu2 | 2018-06-19 20:47 | 機材 | Comments(6)
Commented by カワウソ君 at 2020-11-27 00:54 x
コメントさせていただきます。掲載された記事が大変参考になりました。実は私はこの機材を1昨年から使っておりますが、ときおり若干の色収差があるのではないかと感じています。
実際木星を見ると上部と下部がわずかに着色しております。
これが調整不足のせいなのか、あるいは性能の限界なのかがわかりません。それを判別するにはどうすればよいのか教えていただけますと幸いです。
Commented by tenmontyu2 at 2020-11-27 05:57
今季の木星も南中高度が低いので大気差による上下の色付きは
見えます。これはタカハシのTOA-130でも同じ程度に見えるので、望遠鏡の性能というよりは、大気差の影響大です。
大気差補正プリズムADCをとうして見た惑星像の場合、とても
優秀なTOA-130との差は僅差です。
ただし、恒星、ベガ等の白い系の明るい恒星を250倍程度で
見比べると、色付きが顕著にみられます。
TOA-130は流石に星の色は白いままです。
この時の焦点像の中心とジフラクションリングが綺麗な
同心円に見えるのであれば、その鏡筒の光軸は正しく調整されていると思ってよいと思います。
この色付きはFPL-51特有の色収差でFPL-53搭載の3枚玉であれば、大きく軽減されますが、価格はそれなりにアップするので、笠井さんの落としどころなんでしょうね~
Commented by カワウソ君 at 2020-11-29 20:38 x
こんばんは。たいへん丁寧なご回答をいただきありがとうございます。
不覚ながら大気差で色収差が出るとは知りませんでした。
確かに高度の高い火星では色収差はほとんど感じられませんでした。TOAにはとても手が届きません(涙)ので、当面はblancaを最大限活用しようと思います。土星本体の模様なカッシーニの空隙は本当によく見えます。
Commented by はっとり at 2021-12-30 09:50 x
たまたまこのブログを見つけました。遅いコメントで申し訳ありません。でも、ちょっと笠井トレーディングには不信感を懐きました。笠井トレーディングのホームページでは
「BLANCA-EDTⅡの対物セルには各エレメントの独立センタリング調整機能が装備されており、弊社ではこの機能を生かして実際の星像実視検査により1台1台手作業で軸出し作業を行なった上で出荷しているため、常に完璧な光軸状態で高性能レンズ本来の良像をご堪能頂けます。」
と言っているのが「嘘」なのだと確信しました。対応はしっかりしていますが、ちょっと問題ですね。以前、フィルターを購入したのですが、「特性図」がホームページのと全くおなじで、同じ特性図のコピーを添付しているだけだとわかりました。小物は良いですが、大物を買うのはちょっと控えます。
Commented by tenmontyu2 at 2022-01-01 19:58
ここの、大物を買う時は見極める力みたいなのが
必要ですね。
笠井さんをねじ伏せるだけの立証を検証できる方なら
格安なので買ってもよいと思います。
交換品に来た130EDT2は、恒星の色収差はTOA130に及ばないですが、木星や土星、火星をみても、TOA130と並べて
見比べても、殆ど違いは判らなかったです。
自己責任で購入することでしょうか。
Commented by はっとり at 2022-01-19 23:15 x
確かにBLANCAなどは格安ですね。その分、確かに自己責任の部分が有るのは確かです。笠井トレーディングは長く続いているので、それなりに支持者(購入者)が居るということを考えれば、天文では貴重な会社だと思います。無くなったら困る気がするのも事実。

by tenmontyu2